蝶か蛾か / 大道珠貴


蝶か蛾か
これを読む前に「東京居酒屋探訪」を読み出したら、なんかうんざりしてしまったんですが(以前大好きだった人の本とか映画とかを久々に見ると、どこが良かったのかわからなくなることはままあるわけで)、これは、止まらなくなって一気に読んだ。
産後の肥立ちが悪くて、病院に入るほどでもないけど普通ではないおばさんの一人称で、飛び跳ねるように生きてるかと思えば、梅酒をつけたり、お世話になったひとに会いに行ったり、きちんとしているところもあって、春夏秋冬に沿って満々子さんの生活を覗かされた感じ。
で、そういうちょっと変な人が主人公だと、こっちが完全に感情移入して読んでたら思いがけずひどい人が出てきてどん底に突き落とされるみたいなことが起こるだろうと、しかも大道珠貴だしそれは絶対でしょう、と思ってたら、特にひどい人にもえらい目にも合わず、まぁ途中、中学生にバカにされるところもあるっちゃあるんだけどそれは満々子さんの方が上手だし、なんだか妙に可愛らしく描かれているし、で、好意的なひとや仲良しばかりが出てきて終了。だからなんだってことじゃなく、そういうところが良かったのかも知れないけど、なんか肩透かしを食らった。
でも、良かったなー。のんびりしてて、いいひとばっかり出てきて、苦しいこともなく。何も残らないけど、癒し系ってことでいいんじゃないでしょうか。