告白 / 町田康


告白
こんなに読むのがつらい本はない。
主人公には感情移入してしまうものだし、主人公の熊太郎が小さい頃からえらい目に遭う描写が続きに続いて、読めば読むだけこっちは熊太郎の味方になる。私は「河内十人斬」は知らないけど、帯の情報から、最終的にこの人は大殺戮を犯すことを知っているしその後自害することも知っている。つらい。三分の二過ぎたあたりで読むのやめようかと思ってやめられなくて、決行したあたりから、良かった良かったー庇ってくれる人もいたぁ、と思うんだけど死ぬんだ最後には。っていうことを思い出してうわぁ。
読むのがつらいのに読んでしまうのは面白いからに決まっているんだけど、変な奴とか馬鹿な奴とか情けない奴とかが勢いに乗って変な擬態語伴ってどんどん出てくるから、悲しい話のはずなのに爆笑しながら読んでたら鋭い言葉でぐさっとなったりして。
熊太郎は極端な例だと思うけど、こういうもんだよね、と思う。今を切り抜ければどうにかなるんじゃないかと思って生き延びてもっと大変なことが起こって、を繰り返して、嘘ばっかり言っている、って熊太郎は嘘言ってるわけじゃないけど、でもそれなら私はかなりスケールの小さい熊太郎であって、この世はスケールの小さい熊太郎の塊。そんなわけないか。


発売になってすぐ買ってたんだけど、気合がなくて三分の一読んで挫折してしまったので気合をためてた。読んでる間に誘惑が多くて中断しちゃう。実家に持って来て、図書館に行くの禁じて読んだ。気合はたまってました。